「韓国ルーテル教会婦人会修養会に参加して」 金 賢珠

私は8月9日より15日の間、APATS-JW*いつくしみから派遣されるようなかたちで韓国ルーテル教会の婦人会修養会に参加をすることができた。今回の訪問は私にとって特別な機会となった。私が生まれ育った国・韓国と夫の国・日本。この二つの国の交わりという意味でも大切な時である。日本からは私を含めて、六名の参加であった。私は主として通訳の仕事を受け持ったが、そのためにも恵みも二倍であったかもしれない。

 主題は「聖霊によって一つになる」(エフェソ4:2-4)。場所はソウル郊外にあるルーテル神学校。修養会は毎年行われ、今回で28回目であると聞く。参加者は百名ほどであった。主題講演や特別講義、決断と祈りの時、讃美の時間と、それぞれの思い出を文章に書けないのが残念だが、私の頭の中は、様々な出来事がいっぱい詰まっている。修養会の光景をひと言で表現するとすれば、詩編42:1の「鹿が谷川の流れを慕いあえぐように、神よ、わたしの魂はあなたを慕いあえぎます」という聖書の個所が浮かんでくる。神を慕う心と讃美する心、これが備えられた集まりであった。主にあっての多くの出会い、それに燃えるような祈り、さらに喜びがはじけるような歌声へと変わる力、このエネルギーはどこから来るのであろうか。以前娘の勧めで『ハリーポッターと賢者の石』の本を読んだ時にこのような文章があった。「若者には希望が、中年のものには自信が、老人には安息が」。この言葉が修養会に重なって見えてくる。

 にもかかわらず、最後の夜に聞いた、ある婦人の言葉が心に残っている。「韓国のキリスト者は教会内での信仰生活と教会外での日常生活とが一致できず、これが大きな課題である」と。「だから私は今もそれを覚えて、自分自身のためにも婦人のためにも、牧師や教会のためにも、また国のためにも祈り続けているのだ」と。私は思わず、「日本のためにも祈ってくださいね」と震える声でお願いしたが、このような祈りは多くの婦人たちの口から神さまの耳へと届けられるに違いない。また神さまは、このような祈りを顧みて忘れず、お応えくださるに違いない。私にはこのように祈ることができる婦人たちのひとすじの信仰がまぶしくもまたうらやましかった。

 最後に、私たち日本からの6名を温かく迎え、すばらしい準備をして良き交わりの時を与えてくださった韓国の教会や婦人の皆さま、さらにこのような時に参加するチャンスを与えてくださった日本の教会と婦人の皆さまに心より感謝したい。参加者6名相互の交わりもまた本当に楽しいものであった。さらに両国の間でこのような交流が深められてゆくことを祈りつつ筆を置くこととしたい。

*註:「APATS-JW」とは世界ルーテル連盟(LWF:Lutheran World Federation)の下にあるアジア訓練研究促進日本委員会(Asia Program for the Advancement of Training and Study-Japan Committee)(大柴譲治委員長、加盟教団は日本福音ルーテル教会、日本ルーテル教団、KJELC福音ルーテル教会、西日本福音ルーテル教会、日本ルーテル学院大学・神学校、神戸ルーテル神学校の6団体)の関連組織である日本女性委員会の略。