サンパウロだより    徳弘 浩隆

一時帰国
ゴミや落書きがなく綺麗に整った街並、整然とした歩行者や車。3年ぶりの日本はちょっとしたショックでした。移動で利用したレンタカーはエンジンを掛けるとカーナビが「おはようございます。今日は5月6日、日曜日。只今朝8時です」と挨拶してくれ、道を走ると前のトラックがウインカーとともに「左へ曲がります。ご注意下さい」と。電車では「傘や携帯などお忘れ物がないように」とアナウンス。同行したAliceさんは一つ一つびっくりして大喜び。「やっぱり日本は綺麗で、進んでいて、いい国だ!」と。しかし、終わり頃にはその良さと悪さに気づきました。「いちいち面倒見が良すぎる。自分で注意したり、考えたり、道を切り開く力が弱くなるのでは」と。今の日本は、社会や教会ですらシステムが整いすぎていて、「自分が体を張っていなくても生きていける。神様がいなくても生きていけると勘違いし、一番大事なものを見失ってしまう」と。ブラジルで「信仰的無茶」をさせてもらっている私と、神様の導きを共に体験してきた姉妹の感想でした。そんな私達を、全国で大変手厚く迎えてくださり、一緒にその証を共有し、それぞれの宣教の働きに押し出される思いで、感謝でした。

神学校訪問
今年の祈りは「青年伝道と後継牧師育成」。まだ候補者もいませんが、南部の州の日本語礼拝旅行の帰りにCuritibaという街のルーテル教会の神学校の一つFatevを訪ねました。他の2つの伝統的神学校と違い、福音派的要素がある伝道熱心な伝道師を育てる夜学です。アポ無しで一人で飛び込みましたが、知合いの牧師に再会し歓迎されました。見学し、その神学校のシステムを聞き、日系教会の状況を話し、相談に乗ってくれました。日系人神学生を早く送りたいし、必要なら神様が与えてくださると、彼と一緒に祈りました。

Luiz受洗
一番のニュースは、33歳のブラジル人大工、Luizが7月1日に受洗したことです。ポ語礼拝で奏楽や賛美をしてくれます。昔ブラジル人の過激?な福音派教会に行っていましたが、「センセイの教会のメンバーになりたい」と受洗を申し出、家庭訪問や面接や祈りの末、受洗しました。「CDを作る、駅前で歌う、ビラを配る、スポーツをして若者を集める」と、彼も意気込んでいます。

「青年伝道を!」と祈っていましたから、彼の登場に「神様、この人ですか? あなたが送ってくれた助け手は?」と祈りながら、道を探っています。青少年達が高校卒業や就職で来なくなり、苦戦中のポルトガル語礼拝ですが、一同でお祝いしました。神様はきっとこの礼拝堂を満たしてくださるでしょう。

大柴翔くん訪伯で「武蔵野4人組」
大柴翔君が訪ねてくれ、再会! 教会のゲストハウスに泊まり、礼拝にも出てくれて皆と昼食会。中山充君もいますから、我々夫婦と4人で「武蔵野組」が地球の反対側で集結?です。充君はすっかり溶け込み皆と仲良くしていますし、翔君のことも皆大歓迎でした。「お父さんの大柴先生を知っているんですよ、神学生の頃研修できていたから」と小石川教会出身の会員も懐かしそうに声をかけていました。

教会はゲストハウスがあり、ネットや紹介で集まった若者がいます。先日は翔くんや日本人・日系人若者たちと一緒にシュラスコ屋(ブラジル風バーベキュー)に出かけました。ブラジリアン柔術修行に来た選手、ブラジル転職希望者、JICAで日本研修から帰った日系人デザイナー、大阪外大出身の新聞記者などです。他にも日本人フットサル選手、ブラジルやペルー、ボリビアの学生や留学生たちも住んでいて、一緒に楽しんでいた様子です。

ゲストハウスは家賃の献金も入り有難いことですが、こうした若者たちの出会いや交流の場でもあり喜ばれています。2014年のブラジル・ワールドカップ時の宿泊予約ももうメイルで入り始めています。既に15部屋は満室ですから、安定経営ともっと伝道につなげるために、拡張できないかと資金や土地の可能性を祈っているところです。

伝道のためといえば、日本での全国縦断報告会の際にした「信徒ボランティでブラジルに来てみないか?」との呼びかけに応えて、問合わせてくれる若者もいます。J3が日本に来るように、日本からブラジルへ信徒ボランティア宣教師が来れば双方に貴重な体験になり、それぞれの教会を強め豊かにする事が出来るはずです。

リバイバルが起こりますように、ブラジルで、そして日本で。
(むさしの教会だより 2012年7月号)

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