むさしのだより「井戸端の戸」 南オーストラリア紀行

6月上旬、南オーストラリアにあるカンガルー島を観光する。ちょうど晩秋。

長さ155・、巾55・の大きな島である。その約半分は野生のまま。バスで島を巡り、野生の動植物を観察する。カンガルー、コアラ、ワラビー、ポッサム等を。海岸ではアザラシ、アシカを見る。アシカはSea Lionで豪州では二番目の大きさ。5mに近づくと迫力あり。はじめて見る鳥類多し。歩いたり飛んだり。また体調30・位のリトルペンギンの営巣地を見る。多種類の生物の中に猛獣が生息していない。自然の妙である。

海岸は低木に覆われる砂浜。内陸に入るとユーカリを主体に大木あり、森林をつくる。海岸から内陸を眺めると、広大さと植物の豊かさを実感する。所々にヤッカという植物あり。100年間で20~30・の成長と聞き、妙に感動する。

海岸の小高い所から思う。3~1億年前のゴンドワナ大陸からオーストラリア大陸が分離し、現在の生物圏ができる過程を。人知では計り知ることができない気候、地質、生物等の変化を。そして動植物の配分の精妙さを。ただ神の時間と配慮とを感じるのみ。(た)
(たより2003年7/8月号)