ブラジルだより-Diadema(ジアデマ)集会所  徳弘 浩隆

 

Melo先生が休暇中なので、Diadema集会所のポルトガル語礼拝も、私が担当しています。以前はポルトガル語で原稿を準備して読んでいましたが、忙しいのと、原稿を読んでると気持ちが入らないので、日本語の礼拝のために準備した日本語を見ながら、ポルトガル語でお話をするというスタイルでやっています。間違えたり、言葉を思い出さないときは、聞いている会衆の方々が「こうですか?」、「あ、それはこういうんですよね」って合いの手を入れて教えてくれる、楽しい礼拝です。この日も「私のポルトガル語もまだまだだから、助けてくださいね」と皆さんに頼み、子どもたちにも、「先生はMelo先生みたいにピアノが弾けないから、前奏や後奏を手伝ってね」とお願いして、聖壇に一緒に座ってもらいました。

讃美歌演奏はスマホに入れた讃美歌を、無線でアンプにつないで演奏し、みんなで讃美歌を歌います。日本の教団讃美歌と同じ歌が、ポルトガル語のこちらの讃美歌にもいくつかあるので、それを選んで歌います。

説教の前、「神様の言葉は種、それを私たちに撒いてくださる…」というよく歌うポ語の讃美歌を、御言葉の歌代わりに、子どもたちにリコーダーで吹いてもらいました。素直に練習するときもあれば、ちょっとすねたりして機嫌が悪くなったりすることもあります。今日は、いつも素直なLeo君が「僕は吹かないよ」とむっつりしています。代わりにPaulo君が今日は張り切っています。何度も何度も私の目を見て、「今?」「次?」と合図をしてくるので、聖書朗読が終わった時に、「さぁ、いまだ、頼んだぞ!」と合図を送ります。かっこよく吹き始めたのですが、途中で詰まってしまってやり直し。でも、また詰まってしまって、3回目に「あー、今日はだめだ。もう帰る!」と言い出しました。

みんなは暖かく笑いながら、「大丈夫だよ、頼むよ」と声援を送ります。Paulo君は「だって今日は人がいっぱいいるんだもん。あがっちゃったよ」と言いました。

「間違ってもいいんだよ。ほら、先生だって、ポルトガル語間違えだらけだけど、一生懸命神様の言葉を伝えようって頑張ってるんだよ。間違えが怖くて何もしないより、やってみることが大切なんだよ」「ほら、先生がいいお手本見せてあげる。間違えても平気で頑張ってる見本見せるからさ」となだめるとみんなも爆笑。Paulo君は気を取り直しました。そして機嫌の悪かったLeo君にバトンタッチ、「今日は僕がやるよ」って吹いてくれました。

ブラジル人の貧しい地域の集会所、お父さんがアルコールや薬で入院したり、仕事を続けられなかったり、お母さんもそれで神経質になって、家の中が荒れることもあるそうです。なにやら、そんな事情も抱えたそれぞれの家庭。今日はそのお父さんとお母さんも久しぶりに礼拝に来てくれていて、喜んで握手して帰って行かれました。


私たち日系パロキアが始めたこの地域での音楽教室とポルトガル語礼拝。これらを通して、子どもの生き方が変わり、ご両親もよい影響を受ける、そんな働きにもなるよう、これからも、根気強く、でも楽しく続けていきたいと思わされます。 (ブラジル宣教師)

 

むさしの便り10月号より