むさしのだより「井戸端の戸」 小惑星探査機はやぶさ

今年6月13日夜、小惑星探査機はやぶさが、地球に戻ってきた。60億キロメートル、7年の旅から。月以外の天体(小惑星イトカワ)への着陸と往復とは世界初の快挙。省エネ型のイオンエンジンと自動制御技術を世界にアッピールした。またカプセルを大気圏突入の高温から護る耐熱材料の優秀性も立証した。

燃料漏れ、姿勢制御装置の故障、通信途絶、エンジン故障などで帰還は一時絶望視された。それだけに帰還はとっても感動的になった。探査機本体は大気圏で燃え尽きてしまったが、イトカワの砂が入ってるかもしれないカプセルが回収された。

数々の試練があったから人びとの感動を呼び起こした。はやぶさの開発、運行の担当者の忍耐と何とかしようという熱意があったればこそ、感動は大きくなった。「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。」(ローマの信徒への手紙5:3-4)の言葉がふと思い浮かんだ。

(タ)
 (たより2010年 9月号)