「ミネソタの風(4)二つの喜び」 上村敏文

 初雪は去年より一週間早い10月7日でした。長い長い冬の到来です。気持ちも空気も重くなりがちな社会状況の中にあって、二つの明るいニュースがありました。一つは、同じ家族寮からの女性牧師の誕生。もう一つは高校同期のノーベル賞受賞。全く異なる次元の事のようですが、私には同程度に心暖まる出来事でした。

 6年という長い勉強とインターンを修了し、5月に卒業。その間、御主人が家事、生活費の捻出のための仕事、そして育児。想像を絶する苦労を乗り越えての按手礼には、数多くの友人、関係者が集まりました。そして本人の希望により、按手は参加者全員が手を肩にかけて、牧師が誕生いたしました。野上の義父に頼み、十字架を作製してもらい贈ったところ殊の外喜ばれ、日本の簡素な美しさに感動していました。

 田中氏のノーベル賞受賞は、同窓会のメールでまず知りました。卒業後、それぞれがそれぞれの道を歩む中、理科系の人間が多かったので、「今年、誰かがノーベル賞を受賞したら同窓会をやろう」という幹事の呼び掛けが正夢になりました。地味ではあったけれど、淡々と研究を重ねていった同期生に心より賛辞を呈したい。