2-C. 礼拝としての結婚式




(東教区出版部発行ブックレット『喜びごと悲しみごと』1976年 5月 1日より)
むさしの教会元牧師で、ルーテル学院大学元教授(牧会カウンセリング)
賀来周一牧師によるやさしいキリスト教冠婚葬祭入門です。




喜びごと悲しみごと

2-C. 礼拝としての結婚式

式当日の礼拝プログラムは、式文に従って取り行われますので、あらかじめよく読んでおき前日位までには、リハーサルを済ませておく方がよいと思います。当日、おろおろするのもみっともない話です(編集者註:当日の朝、リハーサルをする場合もあります)。

式の順序は、前奏、新婦入場、会衆讃美歌、詩篇朗読、グロリア・パトリ、聖書、讃美歌、説教、誓約、祝福、新郎新婦退場の順で行われます。こまかいことは、山内六郎先生のキリスト教冠婚葬祭入門や、直接、牧師さんに聞いて下さるとよいと思いますが、二・三気づいたことを述べておきましょう。オルガニストの奏楽については、一般にはメンデルスゾーンや、ワグナーの結婚行進曲が用いられますが、教会での式に用いるにふさわしくありません(註:用いる場合もあります)。きちんとした礼拝なのですから、結婚の喜びを表現するような礼拝にふさわしい曲を演奏してもらうことです。式の途中に、独唱や、器楽の演奏がはいることがあります。あるいは聖歌隊が歌うことがありますが、あまりはなばなしいのもどうかと思われます。礼拝にふさわしい曲ということは絶えず要求されます。世俗曲はさけたいものです。

式の出席者と披露の出席者を分けないのが原則です。会場の都合によって分けなければならないこともありますが、できるだけ式に出ていただくよう心がけたいものです。極端に言うと式を済ませれば披露はなくてもよいのです。最近の結婚式には披露の方を大事にする傾向がありますが間違っています。式はゆるがせにできないが、披露はどうでもよいということを考えておいてください。

式での服装はかならずしも、モーニングにウエディングドレスとはかぎりません。和装でもかまわないのです。男性が羽織袴、女性が文金高島田、白の打掛けというのも見事なものです。

式の中で新郎と新婦が前に進んだり、壇上にあがったりしますが、ひとつだけコツを教えておきましょう。どんな時でも新郎は新婦の右側になるよう心がけることと、新婦の足の運びに新郎が合わせることです。自分だけさっさと歩いてはいけません。

式には仲人さんを立てて立ち合って貰うのが普通ですが、親しい友人二人(男女)を選んで介添役をして貰うこともあります。また新婦入場に先立って、リングボーイ(結婚指輪を司会者まで運ぶ小さい男の子)、フラワーガール(花嫁さんの歩く白布の上に花をまく小さい女の子)をつける場合もあります。しかし、証人となるのは出席した全会衆であることを忘れないでください。

式の説教はたんなる祝詞ではありません。あくまで説教です。み言葉に基づく結婚の本質が二人を通して全会衆に語られます。たんなる祝いの言葉でなく、喜びをみ言葉によってみんなが分かち合うのです。ですから、結婚式は二人だけのためでなく、参列者全員のためのものでもあるのです。