「読書会ノート」 土居健郎『甘えの構造』

 土居健郎 『甘えの構造』  豊田静太郎


かなり昔に新聞の評論でこの書を知り、目次に目を通し、難しいのに驚いてそのまま本棚へ。

今回は無責任にもそれを提案、取り上げていただいて再読しました。

例えば「義理と人情」、他にも、「すまない」「他人」「自分」「めでたい」等々、我々日本人が毎日無意識に使っているところの甘えに起因する多くの日本語があるようです。土居氏は甘えの語が日本語に存し、欧米語にそれに相当する語が存しないという事実も説明しています。良い悪いではなく、イザヤ・ベンダサンの言う「暖国、島国、一民族」の日本の土壌、文化の中から永年の間に発生し育ってきたものと私は考えます。

ここで注目すべきは、土居氏もアタマからそれを悪いとはきめ込んでいません。我々日本人としては短所の裏は長所であることも承知しつつ、甘えがそのまま通らない世界のあることも自覚して生きて行かねばと考えますがいかがでしょうか。

他に『信仰と甘え』という書もあるようです。お時間のある方はご一読を。

   (2003年 7/8月号)