サンパウロだより 「武蔵野の信徒への手紙」(聖書みたい…) JELC派遣宣教師  徳弘 浩隆


ブラジルのアスマラ元年・プロジェクトX

今年2012年は、サンパウロ教会にとって歴史的な年です。今年から段階的に経済自給に取り組むからです。「アスマラ宣言」という言葉をご存知でしょうか? JELCもかつて、アメリカやフィンランドから宣教師や資金が大量に送られ、宣教がそれぞれの地で始まりました。1893年4月に佐賀教会で最初のイースター礼拝がもたれたのが始まりです。その後、1969年にエチオピアのアスマラという都市で行われた日本伝道支援会議で、当時の議長が経済自給を突然宣言したのです。それを受けて先輩牧師・信徒の方々は、献金運動の拡大、収益事業の開始など身を切る思いで、1975年までに自給を達成しました。


ブラジルのサンパウロ教会にも、似た時が訪れたのです。2012年から4年間で経済自給をするので4年間宣教師任期を延長させてほしい旨の申請をし、JELCに承認して頂きました。教会引っ越し、メンバー増加に加えて、下宿業という収益活動の開始などから、今なら経済自給を達成でき、存続可能な教会になれると、祈りの中で確信を与えられたからです。後に、南米教会も合流してこられたので、より確度が高くなりました。1965年から46年間JELCに全面依存していた体質を変え、宣教50周年の2015年に経済自給を達成すると、教会員一同奮闘しています。


今年は、人件費の25%を年度末にIECLBにおさめ、75%がJELCに請求されます。来年から、JELCへの請求分は、50%、25%と減少し、2012年は0%になるのです。グラフのように、「X」の字を描いて負担割合が4年間で逆転します。これを見て「ブラジルのアスマラ元年」、そして「プロジェクトX」(ちょっと古い?)だと思いました。4年間で3種教会から2種教会、そして1種教会へ駆け上がる、不可能に見えることに挑戦する計画だからです。

しかし、神様に不可能はありません。不思議なことが次々に起こります。JELCもかつて、身を切る思いで自給し、アメリカやフィンランド、ドイツの教会と親子の関係ではなく、姉妹教会になりました。今度は、JELCが海外に産んだ教会が、その道をたどる番です。JELCも親なる教会として、共に祈り、助け、共に喜んでいただきたいと思います。



 

 

 

 

 

 

 

青年信徒ボランティア

次の大きな課題と祈りは、青年伝道と後継日系人牧師です。日本語礼拝はそれなりに増えて落ち着きましたが、ポルトガル語礼拝は、人が増えては減り、目立つ青年リーダー候補が現れては消えていく、「片思い」の日々が続いています。今年5月の一時帰国時に、各地で「ブラジルに来て、青年信徒ボランティア宣教師として働いてみないか?」と呼びかけました。数人から問い合わせがあり、一人の方が申し込みをされ、真剣に祈り考えています。

アメリカの教会からJ3という青年信徒宣教師が来てくれて伝道が活性化しているように、日本からブラジルに来てくれて、日本語、日本の歌、日本の文化を伝えてくれるなら、関心がある青年たちがたくさんいるのです。J-PopやK-Popの歌や踊りが好きな子も教会のイベントに来ますし、鏡張りの教室をダンスの練習に貸しています。私が一人でやるよりはるかに宣教の輪が広がると思うのです。

この計画の実現のためにお祈りください。候補者が無事にハードルを越え、経済的にも本人やサンパウロ教会が負担出来て、よい結果が出せるように。今後も次々に与えられるなら、本人の信仰や経験も成長し、献身者も現れるでしょう。低迷する宣教を突破するには、開拓伝道や海外宣教で出会う神様との生き生きとした体験が必須だと実感します。

どうぞ、お祈りください。武蔵野教会のお働きの上にも、神様の祝福をお祈り申し上げます。

(むさしの教会だより 2012年 11月号)