じゅごん   石垣 通子

 クジラ類と並ぶ海の哺乳類です。現在のイスラエルの最南端の接する紅海からインド洋を経て、オーストラリア近海から沖縄まで分布し、浅い海で海草を主食としています。外形の似ているマナティは南北米沿岸で分布していますが、きばはありません。

 聖書では生きたじゅごんは出て来ませんが、その皮は、エジプトを出て荒れ野を旅するイスラエルの民の聖なる幕屋の材料として使われていたのです。

 最後に、赤く染めた雄羊の毛皮で天幕の覆いを作り、更にその上をじゅごんの皮の覆いでおおう。(出エジプト26:14)

 この箇所は文語訳ではマミ、英語訳ではバッジャー(アナグマ)となっています。ここでじゅごんと訳されている言葉はもともと「水中に飛び入るもの」を意味し、アザラシやイルカ、じゅごんなどを総称した言葉と言われます。そうするとアザラシの毛皮とも考えられます。紅海にはアザラシはいませんが、地中海にはモンクアザラシがいます。色々な点でアザラシの方が適当かも知れません。

(99年12月号)