編集後記 「祈りに集う猫たち」 秋田 淳子

小鳥に説教をするアッシジの聖フランシスコの絵があります。彼は実存していた人ですが、この光景は作られた伝説だと思っていました。しかし、今では本当のことだったに違いないと信じています。

私の家では、朝の食事の前に母と毎日交代で聖書を読みお祈りをしています。もう何十年続けていますが、ある時から飼い猫3匹がこの時になると、テーブルに自然と集まってくる光景を幾度となく経験するようになりました。その間は、静かに座っていて、祈りの最後の「アーメン」を聞き終えると、また、いつもの自分たちの居場所へと散っていきます。

これは、もしかしたら聖書を読んだり祈っているときの私たちの声のリズムやトーンが心地良いものとして伝わっているからなのかもしれません。

説教を聞いていた小鳥たちも、聖フランシスコのあふれる愛情を感じていたのでしょう。そして、彼から流れ出てくる幾重ものやさしい色のオーラに包まれていたのだと思います。

(2001年 3月)