【 テキスト・音声版】2020年12月20日 説教「 驚きの知らせ 」 浅野 直樹 牧師

2020年12月20日 待降節第四(降誕)主日礼拝説教

聖書箇所:ルカによる福音書1章26~38節

これは毎年お話していることのようにも思いますが、今日は教会の暦としては待降節の第四主日になりますが、私たちのこの日本では、社会的な事情から大方のプロテスタント教会ではこの第四主日の日曜日にクリスマスを祝う礼拝をしている実情がある訳です。ですので、与えられた聖書の言葉(日課)も、なんだかクリスマスっぽくない感じがするのかもしれません。しかし、私は、こう思うのです。これこそ、クリスマスに相応しいみ言葉ではないか、と。

フラ・アンジェリコ Fra Angelico (circa 1395 –1455) 受胎告知 The Annunciation サンマルコ修道院 Basilica di San Marco



なぜならば、クリスマスとは、私たち一人一人がマリアとなる出来事でもあると思うからです。私たちも、マリアになる。私たち一人一人のうちに、イエスさまが宿ってくださるのだから。それが、クリスマス…。「おめでとう、恵まれた方」。この突然の天使の呼びかけに、マリアは当惑します。天使の声を直に聞いたからではありません。なぜそのような言葉がかけられたのか、理由が全く分からなかったからです。

「おめでとう、恵まれた方」。私たちにもまた、この言葉が語られている。なぜか。私たちにもイエスさまが与えられているからです。神の子が与えられている。この罪深い私に。これは、信じられないような出来事です。神の子が与えられるということは、私たちは神さまから最上級のもてなしを、待遇を、扱いを受けている、ということでしょう。ならば、なおさら信じられない。そうされる、そのように扱われる理由が分からないからです。ですから、私たちも当惑するしかないのかもしれない。あのマリアのように。それに対して、天使は理由を聞かせてくれました。あなたは神の子を宿すから「恵まれた」存在なのだ、と。しかし、マリアは納得できませんでした。信じられなかった。実感が湧かなかった。

ですから、マリアはこう尋ねます。「どうして、そのようなことがありえましょうか」と。不可能なのです。ありえないことです。何より、私にはそんな資格があるとも思えない。私は特別な人間じゃない。優れたところも、特にない。普通の、むしろ平凡すぎるほどの、どこにでもいる一人の田舎の娘でしかない。これまでだって、それほど神さまに喜んでいただけるような歩みを送って来たわけではなかった。むしろ、罪深ささえも自覚している…。なのに、どうして…。

「神にできないことは何一つない」。天使の答えは明瞭です。あなたがどうであるか、ではない。それは、神さまが為さることなのだ。たとえ、あなたが言うように、感じているように、それが不可能だとしても、神さまにはお出来になる。なぜならば、「神にできないことは何一つない」のだから。



マリアがそうだったように、神さまが「それを」為さるのです。神さまがされるのです。だからこそ、私たちの中にもイエスさまが宿られている。光が住んでくださっている。それだけが理由なのです。だからこその「恵まれた方」なのです。しかし、そのはじまりは、何の変化もないように思われるのです。今日は第3部で洗礼式を行いますが、その洗礼を受けられる方も、洗礼後も何も変わっていない、相変わらずの自分自身だと思われるかもしれない。しかし、すでに命は芽生えているのです。

気づかないほどの小さな、かすかな音かもしれませんが、命の鼓動がはじまっている。そして、それがだんだんと力強いものとなり、実感となり、誰が見ても明らかなような成長を遂げていくのです。しかも、それは、私たちの内に宿る命そのものの、イエスさまの力がそうさせていくのです。このマリアと私たちとの違いは、十月十日だけの出来事ではなくて、一生の間続いていく命の出来事ということではないでしょうか。

この受胎告知の出来事から見えてくるマリアと私たちとの違いは、おそらくこのことでしょう。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」。マリアは有り得そうもない天使のお告げに、こう答えていきました。ですから、やはりマリアは私たちの模範なのです。神の子をみごもった聖人だからではありません。そうではなくて、私たちの模範となる信仰の人だったからです。だからこそ、私たちも今日、このマリアに倣ってこう言いたいと思う。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と。

新カリスとパテナ(錫製)



野上信雄兄作(秋田杉、中央の十字架は教会の桜)



祈 り
・今日、新たに二人の仲間を迎えることができましたことを心より感謝いたします。洗礼を受けられた古川ひろみ姉、八王子教会から転入された立石節子姉。どうぞ、このお二人のこれからのむさしの教会における信仰の歩みを豊かに祝してくださり、お導きください
ますようお願いいたします。また、兄弟姉妹としての交わりを、なおも豊かに祝してください。

・非常に新型コロナの感染が広がっている中ですが、このように守られてクリスマスを祝う礼拝を持つことができましたことを心より感謝いたします。また、聖餐の恵みにも与ることができましたことも大変嬉しく思っています。しかし、共々に集うことのできなかった兄弟姉妹方も多くおられます。どうぞ、私たちと等しい豊かな恵みをお一人お一人のお与えください。

また、このような幸いなクリスマスの時期にあっても、困難を覚えておられる方々が多くおられます。どうぞ、憐れんでくださり、そのお一人お一人の上にも闇を照らす光をお与えください。また、必要な援助の手も速やかに与えられますように。また、私たちも、出来うることを怠ることなくしていくことができますよう導いてください。

・この新型コロナの感染拡大で医療現場が大変なことになっています。特に、医療従事者の方々を顧みてくださいますようにお願いいたします。
主イエス・キリストの御名によって祈ります。

アーメン