「サンパウロ便り(6)」 徳弘浩隆

サンパウロ便り(6)
「あっという間の1年11か月」

徳弘浩隆
(日本福音ルーテル教会ブラジル派遣宣教師)


< はじめに >
むさしの教会の皆様、

いつも、心に留めていただき、ありがとうございます。1年と10ヶ月が過ぎたところですが、めまぐるしい日々でした。
< ペンション・ルーテル オープン! >
新しく引越ししたサンパウロ教会の牧師館はお金持ちの日系人が持っていた家で、クリニックにしたり、芸能人を呼んでパーティーやリハーサルをしていたり、その後はパソコン修理の会社に賃貸していたりしていた、広い建物です。中庭の奥に、2階建てのホールがあり、その一階が教会、二階がホールや教室になっています。

そこで、今後のサンパウロ教会の自給を考えて、牧師館の一階部分を改造して、下宿人が住めるようにしています。学生や勤労青年たちの日系人が下宿をしてくれればと願っています。

これに取り組んでいるのは、サンパウロで有名な教会になり、人の出入りが増えて、伝道につながると思っているからです。そして、家賃や宿泊代の献金をいただいて、教会会計に繰り入れて、4年間でサンパウロ教会を自給させようと、教会員皆は決意しているからなのです。
< 今後のサンパウロ教会の将来のために >
将来を考えても、また日本の教会の牧師不足や厳しい経済状況を考えても、いつまでも日本の教会に頼っていてはいけないと、皆自覚し始めました。宣教師をお願いし、宣教師に頼ってばかりいては将来がないと、今回は本当に骨身にしみているのです。

打開策を祈り求めるうちに、教会の移転話がありましたし、苦労の末に良いところに移転できました。私もブラジルに来て、かつて本を読んで勉強した日本福音ルーテル教会の歩んできた道を、後からたどって歩いているような、信仰の追体験をしているように感じてなりません。

神様は、祈りにこたえてくださると感じます。教会の皆も、祈り、同じビジョンに向けて支えてくださるのを感じ、また、互いに喜び、夢に向かって歩んでいます。

受洗者や転入会者も十数年ぶりに与えられました。青年会もできましたし、若者の同労者や、ポルトガル語の話せる奉仕者、また奏楽者も妻以外に3名与えられました。妻が一人で頑張ってくれている、教会食堂の準備も今日から手伝ってくださる方々が現れました。

次の祈りは、次世代の青年伝道者です。ポルトガル語を自由に話し、若者を引っ張ってくれ、将来バトンタッチしていける青年伝道者を与えてくださいと、毎日祈っているのです。
< カルナバルシーズンの静と動 >
街はいま、カルナバルです。そして、スーパーにはもう、イースターのチョコレートがぶら下がって売られていて、お祭り騒ぎが始まりました。しかし、静けさを求める人たちや山や海辺に出かけるシーズンでもあるそうです。そして、教会メンバーは、このように修養会をして祈りを深めるカルナバルの季節です。

もう一息教会が盛り上がり、そして今の自給計画が実現できるようにと、宣教師の派遣期間延長願いを日本福音ルーテル教会に申請しました。日本から、祈りや連帯献金でお支えいただく皆様に感謝します。延長できれば、その期間は日本からの給与支援は漸減させていき、残りはこちらで賄おうと皆一生懸命になっています。

(むさしのだより2011年3月号より)