「サンパウロ便り(7)」 徳弘浩隆

サンパウロ便り(7) 2011/7/3

徳弘浩隆

(日本福音ルーテル教会ブラジル派遣宣教師)


< 南風が寒いブラジル >
「北風小僧の寒太郎」という歌がNHKのみんなの歌で流行り、大森幼稚園でも歌っていましたが、ブラジルは南半球なので 「南風小僧」が寒い毎日です。猛暑の中15%節電でご苦労されている日本ですが、こちらは寒い毎日。暖房があまりないブラジル、時折北向きのベランダに強 い日差しが出ると、ノートPCを持ち出して日に当たりながら仕事をしています。「ここは日本の反対側、南半球なんだなぁ」と思いながら。
< 宣教師派遣期間延長・下宿業と教会成長を >
サンパウロ教会は昨年5月に引っ越しをして何とか落ち着きました。しかし、今年2月からまた工事が始まりました。広くなっ た教会で、牧師館の1階を有効利用し、間仕切りをして小規模収益活動(下宿業)を始めようということになったのです。3月末に部屋も出来、入居者も増え、 最高16名が住んでくれています。日系人、ブラジル人、ボリビア人、ペルー人、そして日本人も。大学生や勤労青年、予備校生に、外国人医師の留学生達、日 本からの旅行者など。17歳から35歳くらいまで、ポルトガル語、スペイン語、日本語と入れ交じり、楽しそうに食堂で食事を一緒に作ったり食べたりしてい ます。バザーを手伝ったり、ポ語礼拝にも出てくれます。サッカー留学希望者親子や、カズみたいにカッコいい日本人プロフットサル選手も住んでくれていまし た。妻も「下宿屋のおかみさん」で、楽しそうに、忙しく手伝ってくれています。

この家賃の献金で、数年で借入金を返済し、その後は人件費の補助にしようという計画です。日語とポ語の礼拝出席も少しずつ 増え、維持献金口数も二倍程になりました。それらを合わせて、「2012年から25%ずつJELCからの支援金を辞退して、4年で自給を達成する」という 自給計画です。この「後に引けない不退転の覚悟」と共に、「宣教師派遣期間を当初予定の3年ではなくて、7年に延長してほしい」という申請を昨年JELC
に提出し、二回の常議員会を経て、6月に承認していただきました。「ただ現状維持で宣教師継続派遣申請するのも心苦しく、JELCの状況を見ると難しい。 しかし、ブラジルの教会を現状維持のまま『見捨て」たり、閉鎖したりすることはできない。」教会のメンバーと話し合い、祈って導き出された結論が、この本 気で自給教会になることと、それへの取り組みだったのです。この期間で教会成長と、下宿業などでの補助安定収入を得て、JELCに経済負担をしていただか なくてもよい教会になり、日系人後継牧師も得て、将来も安心して存続できる教会へと生まれ変わり、軌道に乗せる期間にしたいと思っています。自給達成予定 は、宣教50年の2015年です。

教会に出入りしている駐在社員達の発案で、「異業種交流シュラスコ会」を始めました。いろんな国籍の人もいるので、のちに 「多文化」も入れました。シュラスコというのはブラジル風のバーベキューのことです。毎月第二金曜の夜は教会の中庭で20-30名の人が集まり、名刺交換 したりおしゃべりしたり、自分の国や趣味を紹介しあったり、楽しい場になりました。ブラジルの浄土真宗のお坊さんとも、日本人のサンバの先生とも仲良くな りました。教会のすそ野が広がり、宣教の一つの場になればと思います。そんな会に、先日来てくれたのが、むさしの教会の中山充君です。教会学校の生徒のころから20数年ぶりの再会でした。スペイン留学中ですが数か月インターンで南米で自主研修との事。サンパウロ教会を訪ねてくれました。その後礼拝にも来て くれ、たくさんの人と知り合いになり、情報交換しているようで、役に立てたかなと思います。

 
< 神様を根拠にする生活 >
手探りで、綱渡りのような日々が続いています。計画書や予算計画だけの宣教ではなくて、祈りと「根拠のない無茶をする」開 拓伝道のような生活になりましたが、いつも不思議な導きと出会いを得て順調に進み、神様に感謝しています。まだ道は険しいと思いますが、神様への信頼に根 拠を置く生活に変えられているように思います。どうぞ、これからもお祈りとお支え、よろしくお願いいたします。

(むさしのだより2011年7月号より)