東日本大震災
特別の祈り~東北地方太平洋沖地震東北関東大震災(東日本大震災)被災者を覚えて
特別の祈り~東北地方太平洋沖地震東北関東大震災(東日本大震災)被災者を覚えて
司式)聖なる神さま。私たちは今、試 練の中であなたに祈ります。多くの人々が命を失い、大切な家族を失った人々は泣き崩れています。壊滅した町を前に茫然と立ちつくすしかない私たちに、恐れ るのではなく、あなたに固く信頼する心をお与えください。被災した方々と、その苦しみ・悲しみを分かち合い、被災された方々のために祈る心を私たちに与え てください。キリストの御名によって。
会衆)主よ、聞いてください。
司式)地震や津波によって全てを失った人々に、絶望の中 にある全ての人々に、あなたの救いの御手を差し伸べてください。行方の分からない人たちが一日も早く見つかりますように。また必要な物資が届けられるよう 支援の道を開いてください。心身共に疲れ果てている人々に主の慰めと癒しをお与えください。キリストの御名によって。
会衆)主よ、聞いてください。
司 式)仙台教会と鶴ヶ谷教会、そして3つの保育園(鶴ヶ谷、福室・田子)をお守りくださり感謝します。藤井邦昭牧師をはじめ教会員の方々が、あなたによって 支えられ、困難を乗り越えることが出来ますように。また私たちは被災した他のキリスト教会を覚えます。諸教会が苦しむ人々の中で安らぎと望みを分かち合う 場となりますように祈ります。私たちもまたこの試練を共に生きることができますよう励まし、導いてください。キリストの御名によって。
会衆)主よ、聞いてください。
司 式)被災地で救援活動に従事しておられる方々を覚えます。昼夜を問わず被災者のために献身的に働く方々を支えてください。また世界の国々から与えられる多 くの支援を感謝します。人々の善意と祈りが被災者の方々を支えます。悲しみと苦しみによる連帯がこの試練の中に神の愛を実現させますように。キリストの御 名によって。
会衆)主よ、聞いてください。
司式)福島第一、第二原子力発電所事故のために祈ります。避難勧告を受け、町を離 れた人々を顧みてください。またそのために懸命に働いていてくださる方々を覚えます。最善の道を与え、未曾有の、広範囲に及ぶ命の危険から全ての者をお守 りください。主の平安が私たちと共にありますように。キリストの御名によって。
会衆)主よ、聞いてください。
司式)憐れみ深い神さま。
私たちは悲しみで心が引き裂かれた人々と共に、あなたに祈ります。私たちがこの世で叫ぶ、嘆きを聞き届けてください。私たちを憐れんでください。そし て試練の中で恵みの神と出会うことができますよう私たちに信仰をお与えください。私たちのこの苦しみに先立ち、十字架の上で命をお与えくださった主が私た ちと共にいてくださいますように。絶望の中に希望を、悲しみの中に慰めを、変わらぬ主の愛の中に平安を見いだせることを感謝し、この祈りを私たちの主イエ ス・キリストによって祈ります。
会衆)アーメン。
2011年3月20日 四旬節第2主日
日本福音ルーテル教会・東北関東大震災救援対策本部
「JLER東日本大震災ルーテル救援活動について」 大柴譲治(東教区長)
3月11日(金)に起こった東日本大震災の被害の甚大さの前に私たちは息をのみ言葉を失いました。亡くなられた方々のことを覚えて心より哀悼の意を表します。また被災された方々の痛みと悲しみが少しでも軽減されますように、救援活動に当たっておられる方々が守られますようお祈りいたします。仙台教会、鶴ヶ谷教会のためにも祈り続けたいと思います。全世界より祈りと支援が寄せられていることを通して私たちもまた大きな Lutheran Family の一員であることを実感しています。祈りは力です。被災地にこころを向けつつ、私たち一人ひとりがそれぞれの場でできることをなしてゆきましょう。
日本福音ルーテル教会として私たちがこれまで対処してきたことは以下の通りです。全体の流れを鳥瞰して報告いたします。しかし、被害の甚大さや被災地の広さを考えるとき、私たちのできたことはほんのわずかなことでしかありませんし、まだそれは端緒についたばかりにしかすぎません。今後とも息の長い支援活動が求められてゆくことになると思います。これまでの皆さまのご協力に感謝しつつ、これからのご支援もよろしくお願いします。
01)3/12(金)よりインターネット上にウェブサイト「ルーテルとなりびと」を立ち上げ、情報のシェアリングを開始(担当:立野牧師)。仙台教会代議員の長島慎二兄の発信する現場からの英文レポートが全世界において読まれている。「ルーテルとなりびと」のアドレスは以下の通りです。
http://lutheran-tonaribito.blogspot.com/
02) 3/14(月)東教区は、本教会に呼びかけて、JELC東北関東(後に東日本と変更)大震災救援対策本部を設置(委員長は青田勇副議長)。 → やがてそれは 4ルーテル教団を冠とするJLER東日本大震災救援対策本部に拡大(以下はJLERと略)。
03) 3/14(月)よりJELCとして募金活動を開始。献金先はJELC連帯献金に一本化(郵便振替00190-7-71734 名義:(宗)日本福音ルーテル教会。「東日本大震災」と明記要)。 → JLERは対外的な献金受け入れ口座を別に設置。
04) 3/19(土)より、救援物資輸送プロジェクトを立ち上げ、全国の教会にも協力を要請(担当:松木牧師)。被災地での救援活動を開始しているNPO /NGOにも呼びかけ、3/28(月)より4tトラック8台分の救援物資を被災地に輸送。現在は現地で調達して届けている。
05) 3/20(日)より5/01(日)までの七週間に渡り、毎週主日礼拝において被災地を覚えての連祷を捧げる(各教区が持ち回りで作成)。
06) 3/21(月)東教区総会においてこの件に関して報告と協議の時を持つ。教区としては「顏と顏の見える支援を展開したい」という基本線を確認。総会礼拝の献金は連帯献金に捧げる。
07) 3/23(水)より3/30(水)まで、四名の先遣隊(杉本洋一、安井宣生、立野泰博、小泉嗣の各牧師)を被災地に派遣し、調査を行う。
08) 3/30(木)よりLWFより派遣された災害支援の専門家マタイ氏を3ヶ月の予定で受け入れる。市ヶ谷の懇談室にそのオフィスを設置。
09) 3/31(金)JLER本部会議において活動の基本線を確定。ルーテル学院、JELAの協力も得てゆくこととする。
10) 4/08より順次専従スタッフ三名(二名は現地、一名は市ヶ谷事務局)を雇用し、活動を開始。二台中古車を購入。被災地において、一人(遠藤優子氏)は宮城県社会福祉協議会のスタッフとして、一人(佐藤文敬氏)は被災地のニーズを聞き取り調査して救援物資を屆ける仕事に、それぞれ精力的に従事している。
11) 4/11より仙台教会の協力を得て、仙台教会に「ルーテル支援センター」(定員20名)を設置し、全国よりボランティアの受け入れを開始。石巻市の社会福祉協議会を中心としてボランティアを派遣中(担当:安井牧師)。
12) 5/09(月)「こころのケア」を展開してゆくために学院大学とも協議。
(機関誌『るうてる5月号』の4面にも活動が報告されていますのでご参照ください。)
(むさしのだより2011年5月号より)
「仙台ルーテル支援センター「となりびと」奮闘記」 立野泰博(第2次センター長)
ルーテル教会と東教区は、3月に先遣隊を現地に派遣しました。被災地である多賀城市は、何百台という車がひっくり返り、住宅が破壊され、潰され、海水の引かない泥だらけの現地がそこにありました。その状況はあまりにも壮絶で、言葉を発することさえできません。手にもったデジカメのシャッターを切ることさえできませんでした。避難所で被災者の方々を撮影しているテレビ局を重い気持ちでながめていたことを思い出します。その後先遣隊は、名取氏、塩竃市、七ヶ浜町、山元町、東松島市と訪問するたびに、その被害の大きさと被害種類の多様さに圧倒されつづけていったのです。
被災地の現場に立つた時、「これから始まる救援活動は長期戦になる」と感じました。ルーテル教会としてどこまで、どれだけこの被災に寄り添っていけるか。覚悟をきめなければなりませんでした。幸いにも鶴ケ谷教会、仙台教会の被害は少なく、活動の中心拠点として用いさせてくださることになりました。対策本部会議をへて、第1次センター長・小泉嗣牧師が4月8日に仙台教会に派遣され、11日にルーテル支援センター「となりびと」はその活動を開始しました。活動の様子はブログ「となりびと」でご覧ください。
http://lutheran-tonaribito.blogspot.com/
現在まで、ボランティア活動に約73名が参加してくださいました。活動内容としては、石巻災害ボランティアセンターでの受付業務(全国からやってくる人たちの受け入れ作業)、石巻津波被災地区家屋の泥出し清掃作業の2つが中心です。ボランティア受付業務は石巻市社会福祉協議会より任され、初期段階から3名を配置、スタッフミーティングに陪席しています。また、1名は長期専属スタッフとして石巻VCに泊りこんでいます。もうひとつの活動として泥出し清掃活動にボランティアを派遣しています。朝5時起床し、2時間半かけて石巻に到着。9時から作業にかかり4時まで労働作業。6時のスタッフ会議終了後にまた2時間半かけて仙台に戻り、入浴、夕食、わかちあい。23時就寝という過酷なスケジュールです。それでも、被災地で現地の人々と出会ったボランティアは元気を与えられて帰ってきます。共に汗を流し、寄り添い、話を聞き、そこに絆が生まれているのです。
今回はルーテル救援活動のために2名の専従スタッフを置きました。佐藤さん遠藤さん。このお二人のチームワークと働きで活動は広がりをみせています。支援物資については緊急支援としての大量援助は終わり、これからは個別のニード、しかも県、市、各NPO、行政などができない隙間の援助をルーテルはすることができるし、佐藤専従スタッフがそれをしています。気仙沼にある孤立した精神科の病院に軽自動車レンタル、石巻の家庭にまな板セット、女性たちにコスメセット、地域消防団に遺体捜索のための胴長支援、東町島市の小野市民センターに畳搬入プロジェクト等。予算消化のような援助物資の送り方はやめ、こまかなニードにこたえる活動は実を結んでいます。佐藤専従スタッフによると、ニード調査の中で、こちらが持っているものを援助するやり方ではすでにニードはない。しかし、そうでない本当に必要とされているものはある。援助の仕方を変えることが大切という報告がありました。その方針転換が東松島市小野市民センターの避難所とのつながりに発展しました。畳搬入プロジェクトはルーテル救援としてはじめて避難所に直接支援したプロジェクトでした。
センター開設から1ヶ月たち、やっと活動の点が見えてきました。東松島、石巻、気仙沼。この点からどこを線で結ぶかが今後の展開には重要です。点から線、線から面ということを考えれば、いまのところ石巻が最有力です。県社協、市社協とルーテルの関係もよく、佐藤・遠藤両スタッフのつながりから、被災地で活動している被災者とも連携がとれています。心のケアもはじまりました。
まだまだ長期にわたる活動がつづきます。どうか祈りを持って支えてくださると感謝です。
以上。
(むさしのだより2011年5月号より)