たより巻頭言「星に導かれて」 大柴 譲治

 「起きよ、光を放て。あなたを照らす光は昇り、主の栄光はあなたの上に輝く。見よ、闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で、主の栄光があなたの上に現れる」(イザヤ60・1-2)。

 クリスマスは闇を照らす光のイメージに始まる。東からの占星術の博士たちも星に導かれてベツレヘムにやって来た。それは闇の中の旅であった。ずいぶんと不自由な旅であったことだろう。足元と星の両方を、闇の中で確かめながらの旅だったのだから。当たり前のことだが、昼間は星は見えない。また、たとえ夜であっても、明るい月夜や雲に翳る夜、雨の夜には旅することはできない。救い主の誕生を告げる星の光は星空の闇にしか見えない。このことは大変に意味深いように思われる。私たちもやはり、人生の中で、星空の見える闇にクリスマスの光を知る以外にないのだろうと思う。昼また満月や曇や雨の夜には待つ外ないのだ。

 「学者たちはその星を見て喜びにあふれた」(マタイ2:10)とある。それは長かった旅路の終わりを意味している。またそれは目的の達成をも意味している。ここで「闇」とは私たち自身の存在の根底に横たわる悲しみや不安、そして恐れを表していよう。その闇は「死の陰の谷」であるかも知れぬ。しかし、この闇の中に輝く星を見出した時、そしてその光に導かれて幼子のところに辿り着くことができた時、私たちには大きな喜びが約束されている。喜びは満ちあふれ、私たちの闇の旅は終わるのだ。だから、星空にメリークリスマス!