巻頭言 「“今”思うこと…」 浅野 直樹

私は“今”正直気が滅入っています。先の参議院選挙の所為です。その結果のためではありません(個人的な思いはありますが…)。あまりの投票率の低さに、です。

英国のEU離脱問題に世界は揺れました。私も関心をもってその動向を見つめていましたが、予想外の結果で大変なショックを受けました。しかし、その後の報道の方がショックが大きかったのかもしれません。そもそもEUのことをよく知らないまま投票した人も多かったらしい。離脱賛成の票を投じた当人たちも、まさか離脱という結果になるとは思わず、後悔し、国民投票のやり直しを求めているらしい。ただキャメロン首相(当時)にお灸を据えたくて賛成票を投じたらしい。離脱派のリーダー的存在だった人たちも、本当は離脱を願っていなくて、ギリギリの線で負けることを想定していたらしい。そんなことがいろいろと取りざたされたからです。これほど世界中を混乱させた国民投票が、一票を投じる側も、扇動する側もこんなに軽い気持ちだったのか、と呆れてしまうほどでした。

そんな出来事を目の当たりにした後の参議院選挙でした。与党は憲法改正を前面には出してきませんでしたが、争点であることは明らかでした。これほど重大な課題を背負った選挙だったにもかかわらず、有権者の半数近い人々が棄権してしまった。このあまりの無関心さになんだか危なっかしさを感じたからです。ひょっとして“今”の日本社会は、私が認識している以上に病んでいるのかもしれない…。闇が濃いのかもしれない…。こんなことに関心が持てないほど現実が厳しいのかもしれない…。

「すると、主はこう言われた。『お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこには、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだから。』」(ヨナ書4章10〜11節)。

“今”の日本社会にどのように奉仕すればいいのか…。今日の宣教ということをもう一度考えてみたいと思っています。

むさしの教会だより7月号より:2016年7月 31日発行