たより巻頭言「むさしの教会礼拝堂」 大柴 譲治

 「わたしは彼らを聖なるわたしの山に導き、
  わたしの祈りの家の喜びの岩井に連なることを許す。」
 (イザヤ56:7)

むさしの教会の礼拝堂は味わい深い。何よりも色合いとバランスがよい。一朝一夕にはこのような雰囲気にはならない。長い歳月をかけて磨き上げられてきた礼拝堂。『私たちの教会75年の歩み』に収められている冒頭の写真がその様子をよく伝えている(撮影者は小山茂兄)。この礼拝堂は私たちに主の現臨を感じさせ、心の平安を与えてくれる。「人が建物を生かすと共に建物が人を生かす」という言葉を最近聞いたが、その通りであると思う。

いよいよ7/19から耐震補強工事が始まる。詳細は別項に譲るが、役員、建築委員、募金委員を中心にこれまで多くの方の祈りに支えられて導かれてきたことに心から感謝したい。まさに「夢物語」が実現しようとしているのである。当初の計画を遙かに上回る募金と教会債が短期間に集められた。皆のむさしの教会に対する愛着の深さと期待の高さを感じ、牧師として身を正される思いがする。教会員以外のサポーターからの支援も多かった。この教会はブドウの木のように多くの人の心につながっているのだ。今年はむさしの教会の宣教80年。歴史の重みをつくづくと感じる。

1958年4月に献堂された会堂はこれまでに何度か手が入れられてきた。翌59年3月には米国ネブラスカ州フリーモントの教会より寄贈されたステンドグラスが礼拝堂正面に設置。71年11月より72年3月にかけて教会の二階に五部屋、そして牧師館に二部屋が増築された(総工費525万円)。95年(6-12月)には台所、ロビー、トイレ、会議室、事務室などが増築され、礼拝堂への現エアコンの設置、耐震軽量化のため屋根瓦の葺き替えが行われた(総工費6,533万円)。97年夏には550万円をかけて牧師館のリフォーム。その際に聖卓の台座を木で覆う工事も行われた。

47年間用いられてきたコンクリートの聖卓は今回、おそらくその前面の羊のレリーフを残して新しくされることになる。聖壇部分に礼拝堂の三分の一の空間を使ったことと、まだ壁に密着型の祭壇が主流の中で主の食卓である聖卓を中心に据えたところに、当時の青山四郎先生の時代を先取りしたセンスの良さを感じる。今回の改修では聖壇が全体として低くなるので、ステンドグラスがこれまでより30センチほど高く見えるようになるであろう。天井も木組みが見える建築当初のものに戻り、エアコンも目隠しされる。しかし、そこに座る者の思いを羊飼いキリストの一点に集中させる礼拝堂の雰囲気は変わらないはずである。私たちのただ中におけるキリストの現臨。これこそ教会の中心である。この主の祝宴に与るために私たちは毎週ここに集められている。慣れ親しんだ床と聖壇と聖卓が変わることは残念でもあるが、この礼拝堂を神の家としてこれからも大切にしてゆきたい。

(2005年7月号)