パピルス(カミガヤツリ)   池宮 妙子

モーセの誕生ー出エジプト記2:3

 幼児モーセがパピルスで編んだ篭に入れられ、ナイル川の岸のパピルスの茂みに捨てられた話は有名です。

 パピルスは、ナイル川の上流、エチオピア、パレスチナ、シチリア島にわたる地域に分布し、古代エジプトから8~9世紀まで種々の用途、特に紙を作るために湿地、浅水地に栽培されたそうです。

 多年草で、太い根茎から毎年群生する茎は2~3メートルになり、根元は5~8センチで直立、葉は退化しています。葉の先端に緑色の長い花軸が無数に着き、更に分岐して花がつきます。草姿は柄を下にして立てかけたモップのよう。この大型の草が繁茂した景色は美しかっただろうと想像します。

 古代エジプト人が、茎の髄を圧搾して世界最古の紙を製したことは有名です。軟らかい髄は食用、また篭や祭司用サンダルも造られました根は竹に似て、家庭器具の材料や、燃料。

 観賞用として日本にも見られます。

(2000年 5月号)