とうごま(蓖麻)   石垣 通子

 この植物名は旧新約を通じ、ただ一ヶ所、ヨナ書に出て来るにすぎない。しかし、古くアブラハムのカナン移住の数千年前からインド、西南アジア、北アフリカに知られ、油をとる目的で広く栽培されていた。とうごまは一年生草木であるが、成長が速くたちまち2m以上に達する。枝が多く出て、大形の葉をつける。若いうちは赤みを帯び、成長すると緑色になる。

 蓖麻子油はこの種子を絞って作る。昔はこの油を祭事に使用した。

 文語訳聖書ではひさご(=ひょうたん)、又口語訳や新共同訳ではとうごま、又リビングバイブルではつる草となっている。

 『すると、主なる神は彼の苦痛を救うため、とうごまの木に命じて芽を出させられた。とうごまの木は伸びてヨナよりも丈が高くなり、頭の上に陰をつくったので、ヨナの不満は消え、このとうごまの木を大いに喜んだ。』(ヨナ4章6節)

(95年 9月)