イワダヌキ(岩狸)

 イヌ科の肉食獣であるタヌキとは全く違う蹄をもった草食獣です。大きさと体つきが似ているので、この名前がつけられたようですが、最近の聖書翻訳家の間ではハイラックスであると意見が一致しています。アフリカ・アラビア・シリア地方に生息するイワダヌキ類の総称で、草食で複雑な構造の消化器官を持ち、そのものは単胃で、反芻については議論のあるところです。系統分類学の上では、原始的な有蹄獣で最も近いのがゾウです。

 中世ではハリネズミ、またはヤマアラシと思われていたようです。

 岩狸は反すうするが、ひづめが分かれていないから、汚れたものである。(レビ11・5)

 この地上に小さなものが四つある。それは知恵者中の知恵者だ。蟻の一族は力はないが夏の間にパンを備える。岩狸の一族は強大ではないがその住みかを岸壁に構えている。いなごには王はないが、隊を組んで一斉に出動する。やもりは手で捕まえられるが、王の宮殿に住んでいる。(箴言 30・24~28)

 高い山々は野山羊のため。岩狸は岩場に身を隠す。(詩編 104・18)