むさしのだより「井戸端の戸」 ローベルト・シューマン生誕200年

ローベルト・シューマン生誕200年の今年5月、ベルリーンに二週間ほど滞在し、その間にライプツィヒのローベルトとクラーラの住まいを訪れる機会に恵まれた。猛反対するクラーラの父との裁判に勝ち、1840年にようやく結婚へと至った二人が44年まで住まった家。東西ドイツの壁崩壊後の1999年に初めて公開されたという。当時の面影が偲ばれ、ブラームス、ワーグナー、リストなど著名な作曲家や詩人や芸術家がこのサロンで出会い、講演や演奏会が催された記録があった。才能に溢れた芸術家達が競い合いながらも互いを認め合うことで自身が高められ、時代を超えて愛される尊い作品が残されたのだ。因みにブラームスを世に送り出したのはローベルト・シューマン。クラーラの名で出版されたシューマン全集版の真の編集者はブラームスといわれる。感謝。

(ノ)
 (たより2010年11月号)