「クリスマス・プレゼント」 浅野 直樹

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。

(ヨハネによる福音書3章16節)

 

今年もクリスマスの季節になりました。心からイエスさまの御降誕を祝っていきたいと思います。

私の手元には『ほんもののプレゼント』(偕成社)という小さな本があります。結婚前に妻がクリスマス・プレゼントとしてくれたものですが、O・ヘンリーの「賢者の贈り物」(The Gift of the Magi)として知られているものです。私はクリスマスになると、この物語をよく思い起こすのです。

ジムとデラという若い夫婦が主人公です。夫のジムは若干22歳。おそらく新婚さんなのでしょう。夫婦としての初めてのクリスマスを迎えるのですが、お互いにプレゼントをする余裕がありません。妻のデラは一生懸命に倹約をしてきましたが、なかなかプレゼント代をためることができませんでした。思い切ってご自慢の栗毛の長髪(ながかみ)を売って、お祖父(じい)さんの代から受け継いできたジム自慢の金時計(懐中)を彩るプラチナのチェーンを購入することができました。デラはわくわくしながらジムの帰りを待っていましたが、ジムは帰ってくるなりデラを見て呆然としてしまいます。それは、ジムはジムで妻の自慢の長髪のために金時計を売ってしまって素敵な櫛のセットを購入していたからでした。つまり、お互いのプレゼントは役に立たないプレゼントとなってしまったわけです。でも、この本はこう書きます。「頭のいい人たちは頭のいいプレゼントをします。…ところがこのアパートに住む、二人の、あまり頭のよくない子どもっぽい人たちは、いちばんたいせつな宝ものを、いちばん頭のよくない方法で、おたがいになくしてしまいました。でも、現代の頭のいいみなさん。プレゼントをする人たちの中で、この二人こそだれよりもかしこい人たちだったといえるのではないでしょうか。プレゼントをあげたりもらったりするということは、この二人のようにすることなのではないでしょうか。」

イエス・キリストは私たち人類に与えられた神さまからのプレゼントだと聖書は告げています。あなたのために、あなたのことを思って、もっとも大切な宝さえも手放して、ただあなたの幸せを願って与えられたプレゼント…。それがクリスマスです。

むさしの便り12月号より