たより巻頭言「星に導かれて~アドベントに想う」 大柴 譲治

「学者たちはその星を見て喜びにあふれた。家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。」  (マタイ2:10-11)

今年も11/28(日)からアドベント(待降節)を迎えます。クリスマス前の4週間を私たちは自分のこころに主をお迎えするための備えの期節として過ごすのです。教会暦ではそこから一足早く新年が始まります。教会には今年ももみの木のクリスマスツリーとアドベントクランツが飾られました。教会の桜の木からの落ち葉は今年もたっぷりと降り積もり、見事な色合いを見せてくれています。季節の移り変わりを感じます。皆さんにとって今年はどのような一年だったでしょうか。

「アドベント」とはラテン語で「到来」を意味します。二千年前の主イエスの御降誕を「第一のアドベント」、終わりの日に約束されている主の再臨を「第二のアドベント」と呼ぶとすれば、私たちは今ここで、二つのアドベントに挾まれた時を生きています。コンパスが常に北極を向いてピタッと止まるように、私たちも主イエスの到来に向けてこころを備えるように最初から方向づけられているのです。アウグスティヌスが次のように記す通りです。「神よ、あなたは私たちをあなたに向けて造られました。だから私たちの魂はあなたのうちに憩いを得るまで安らぐことはないのです」(『告白』)。

最初のクリスマスに先立ってベツレヘムの上にはひときわ輝く星が姿を現します。救い主の到来を告げる光です。その星を目指して東から占星術の学者たちが登場します(マタイ2:1-12)。博士たちの旅は星に導かれての夜の旅でした。現代のように整備された街灯も道もありませんから、その旅は夜空に星を見上げつつ闇の中に足もとを確かめながらの長い長い手探りの旅だったことでしょう。時には星を見失ったこともありました。幼子を拝し、黄金、没薬、乳香を捧げるために、困難をものともせず彼らは旅を続けてきたのです。深い喜びが彼らを捉えていたからです。人間的に見ればその旅立ちも大きな決断だったはずです。それは行き先も知らないで出発したアブラハムの旅立ちとも重なります。星の専門家でもあった彼らはその専門性を生かしながら神の御業を証しするという大切な役割を果たしてゆきました。

主の到来を告げる星の輝きはこの世界を今も静かに照らしています。皆さんも私たちとご一緒にこの星を見上げる喜びを味わいませんか。12/24(金)19時よりのクリスマスイブ音楽礼拝でお待ちしています。シャローム(平安)!

(2010年11月号)