塩野七生著 『ローマ人の物語』       仲吉 智子


先日、テレビのスポーツニュースを見ていましたら、大阪桐蔭高校の野球選手藤浪晋太郎君がインタビューの中で読書が大好きだと言っているのを聞いて”ワァーすごいなぁ“と感動してしまいました。野球選手というハードな生活の中で本を読む時間をさがせるなんてと感心した次第です。

この度は塩野七生著『ローマ人の物語』シリーズの中の八・九・十を今村芙美子姉の強い勧めで読むことになりました。

「ユリウス カエサル」に焦点をあてた部分で上・中・下となっており、上が彼の「幼年期から青年後期」まで、中が「壮年前期とガリア戦記」下が「勝者の混迷」というタイトルでマリウスとスッラの時代へ、そしてポンペイウスの時代に移ってゆきます。カエサルは名門でもない家に育ちながら、母の教育もあり、世の中に出てゆきますが、成功した男性の陰には女ありといわれますが、悪い意味ではなく、見事に母に支えられて育ち、少し先が見えた頃には母はこの世を去ることになります。カエサルは又、大の借金男だったようですが、皆様ご存知でしたか。古今の史家や研究者にとっては、いまだに迷とされているとこは、カエサルがなぜあれほどの莫大な額の借金が出来たのかと言われています。また、もう一つなぜカエサルは女という女からモテただけでなく恨みを買わなかったのかの解明が、現状男性独占といわれる史家や研究者では何も解明されず、やはり女の立場で、はじめて可能になったのに似て、なぜ権力もなかった時期のカエサルに多額の借金が出来たのかはローマ時代の債権者と債務者の心理にまで入り込んで考える必要があるのではと著者は力説しています。

勝手に想像をふくまらせて言わせてもらうと、著者はカエサルを理想に近い魅力的な男性像に描いているように感じます。

今回は余談の部分にスポットをあててみました。

むさしのだより 2013年3月