そよ風     秋田 淳子

出会ってから33年の間、親しくしていた友人が天に召されました。

園芸を学ぶ全寮制の短大に一緒に入学した彼女は、隣りのお部屋の住人。全ての生活態度、どんな言葉遣いもお互い周知していて、また許される間柄でした。

2年前から病との闘いを始めた彼女は、仕事を離れ自宅療養。彼女の唯一の楽しみは電話でのおしゃべりでした。でも、日毎に咳き込むようになり、「ごめんね、電話切るね」と彼女。私の方から電話することも、いつの間にか少なくなっていきました。

6月28日の夜、私は心の中で彼女にずっと話しかけてました。そして、彼女のベットサイドにいる想いでテゼの曲を歌い始め…うつらうつらしていたら…、彼女のご主人からメールの連絡。「先ほど、天に召されました」と。

灰になってしまった彼女の姿を見たとき、人は神によって無から創られていることを目の当たりにしました。でも、私にとって彼女との時間は、オルゴールが曲の途中で止まってしまったかのように、あっけなく、物足りなく、納得いかないのです。

(むさしの教会だより 2012年7月号)