「牧師先生の服装」




『むさしの教会とシンボル』 文と絵 青山 四郎

(むさしの教会文庫 1980年 4月20日発行)
むさしの教会元牧師の青山四郎牧師による文章です。

「むさしの教会に出入りしておられても、意外に皆さんが御存知ないことが多いのではないか
と思いますので、気付いたことを書きならべてみることにしました。御参考になれば幸いです。」




牧師の服装のことは種類が多く、たいへん複雑ですから、ここではこの教会で用いられているものだけを説明しましょう。

gown 「黒いガウン」、普通の礼拝では、牧師先生は黒いガウンを着ておられます。これは教会的なものというより、アカデミックなものです。大学の場合、学位の種類によって、ガウンの袖や胸の開き等が違っています。ヨーロッパでは中世期の大学ですでに用いられていました。ルターの肖像画を見ると、大学教授の黒いガウンを着て教会で説教している様子が伺われます。宗教改革の指導者たち、ルターやカルヴァンやメランヒトン等は大学教授でした。そんなことからでしょうか、ルーテル教会等プロテスタント教会では、このアカデミックな黒いガウンが牧師の服装になっています。


surplice 「サープレス」 Surplice 、聖餐式の時、黒い式服の上に、白いリネンか絹のゆったりした膝までの長さの上着を着ておられるのが、サープレスです。これは紀元二世紀頃、ローマの上流社会の人々が着ていたトゥニカ Tunic から教会にはいったものだとされています。キリスト教が公認され、礼拝も荘厳になってくると、だんだん立派になり、聖餐式用の服装になってきました。これは、最初は白いリネン、あとでは絹も用いられるようになりました。これを着るのは義と聖によって新しくされた人であることのシンボルとされています。正式には、黒い筒袖の、裾が足もとまであるキャソック Cassock の上に着ます。

聖歌隊も同じようなものを着ています。聖歌隊は、昔は聖職者のつとめで、チャンセルの中で歌っていましたので、その名残りが今日に到っているのでしょう。

stole 「ストール」Stole 、牧師先生が礼拝の時に首から掛けている細長い首掛けです。これも教会の古い伝統的な聖餐式用の服装の一つで、牧師の品位と権威のしるしとされていますが、本来はキリストのくびきのしるしであり、キリストの王国のために働く者の姿であって、不死の希望のシンボルともされています。ストールは教会暦の色にあわせた色布で作られ、キリストのシンボル等が刺繍されています。


alba 「アルバ」Alb 、これもサープレスと同じトゥニカから出たものらしく、白いリネンで作られ、ゆったりした筒袖で裾は足もとまであります。そして腰を帯ひもで結びます。古くからの聖餐式用の服装でした。これは、ヘロデがイエスを辱めるために着せようとした(ルカ23:11)着物を暗に示しているといわれ、救い主キリストの血によってあがなわれた者の、貞節、純潔、永遠の喜びを示すものとされています。

少し説明が長くなりました。さてもう一度よくこの教会の内外を眺めて下さい。きっとまた違ったいろいろの意味を汲み取って頂けると思います。礼拝も大切なシンボルをもっていますが、このことについては、一般的になりますので、またの機会にゆずりましょう。

(以上の『むさしの教会とシンボル』のデータベース化は、教会員の橋本直大兄のご奉仕によりました。98/09/15)