教会と歴史(12) 石居 正己




むさしの教会元牧師、ルーテル学院大学・神学校元教授(教義学、キリスト教倫理)の石居正己牧師による受洗後教育講座です。




(承前)グロリア・イン・エキセルシスの歌い方の注意には、交唱、応唱、斉唱の何れでもよいとされています。この歌い方も、詩篇以来の、旧約時代からの歌い方なのです。曲は時代と共に変化しても、その方法は受け継がれています。その中で歴史的な積み重ねがあります。

 例えば聖餐式のサンクトウスのところですが、「聖なる、聖なる、聖なるかな、万軍の主。主の栄光天地に満つ。天にはホサナ、主のみ名によって来られる方を讃えよ。天にはホサナ」と歌います。正確にはイザヤ書6章に基づくサンクトウスとベネディクトウスが歌われています。ベネディクトウスの「天にはホサナ、主のみ名によって来られる方を讃えよ。天にはホサナ」というのは、もともと詩篇110篇の言葉です。その26節には「祝福あれ、主のみ名によってくる人に。わたしたちは主の家からあなたたちを祝福する」とあります。ところが、全体を見ると、状況が全く違うのです。(続く)

(1996年 9月)