教会と歴史(8) 石居 正己




むさしの教会元牧師、ルーテル学院大学・神学校元教授(教義学、キリスト教倫理)の石居正己牧師による受洗後教育講座です。




 (承前)礼拝の中で私たちは信仰の告白をします。聖餐式の時はニケヤ信条を用いますが、これは325年ニケヤという町で開催された教会の会議で出来た信仰告白です。使徒信条は、もともと使徒たちの信条(Apostoles’ Creed)と呼ばれたものです。長いこと、十二使徒たちが各地に伝道に散らされて行く前に、各人が一つづつの節を持ち寄って作ったと信じられていました。もちろんそれは歴史的に正確ではありませんが、しかし、その大体の文は紀元二世紀の後半まで遡ることが出来ます。

 ですから、私たちが使徒信条を告白する時には、2世紀の信仰者たちと共に、ニケヤ信条を告白する時には4世紀の人々と共に、自分の信仰を言い表していることになります。そういう古い柱や梁を組み合わせた礼拝式の中に私たちはいます。歴史をただ横に眺めて、いろいろな知識を考えるのではなくて、信仰の歴史の積み重なりの下に私たちは生きているのであり、私たちの信仰と礼拝が成り立っていることを考えていかなくてはなりません。(続く)
(96年2月号)