2-B. 結婚までの準備~きちんと筋を立てる




(東教区出版部発行ブックレット『喜びごと悲しみごと』1976年 5月 1日より)
むさしの教会元牧師で、ルーテル学院大学元教授(牧会カウンセリング)
賀来周一牧師によるやさしいキリスト教冠婚葬祭入門です。




喜びごと悲しみごと

2-B. 結婚までの準備~きちんと筋を立てる

双方が、その両親、親族に至るまで、教会的なありかたによく慣れていたり、自由な物の考え方ができる人たちですと、旧来の風習にそれほどとらわれることはありませんが、人によって、一応、世間なみとか、家の伝統だからということがでると、いろいろ面倒な手続きがはいってきます。結納、仲人、日取り云々と七面倒です。どうしても、それらをふまえないといけない場合があると思われます。その場合には、それに従ってされるのもよいことです。

本来は、家と家の結び付きを重んじるところから出て来た習慣ですけれども、今では、一種の社交儀礼としての機能しか果たさなくなっています。そのために、だんだんと手続が簡略化する傾向が見られます。正式には、仲人は、両家へ別々に結納を渡しに行ったのですが、今は一度に両家を目の前にして結納の受渡しをしたり、親子杯を略して、親族杯だけにしたり、それも略してレセプションの乾杯で済ませるといった具合になってきているのは何よりその証拠です。ですから、結婚は、家ではなく、個人の結びつきであることをはっきりさせたい場合には、その旨を二人できちんと言う方がよいのです。とかく、こうしたことは、きちんとしないことから問題が生じることが多いのです。分ってくれているはずだのにと言うのが一番いけないことです。

婚約、結納といったことに関して、教会ではこうするといった取りきめはありません。二人の仲もきまって、このまま黙っているものと思われる時には、教会で婚約式をします。婚約式の式次第は牧師さんが持っていますから、それを見せて貰ってください。婚約式には、たいてい、親しい友人数名、両親、兄弟くらいが出席します。終った後、お茶を飲む、または軽い食事をするのが普通です。たいていは、結納をかねていて、指輪とか聖書の交換をします。この時に結納金を渡すといったことはありません。結納金というのは、教会の場合、本来は不要のものです。

式までにしなければならないことはいろいろありますが、日時、場所、司会者、オルガニスト、招待者などは早目にきめておかねばなりません。とくに、日時については、教会の都合、牧師さんの日程と合わせます。牧師さんは日曜以外は何時でもよいだろうと思われて、先に日時がきめられるととても困ります。場所については、教会堂で行うのが原則で、レセプションを会堂でするか、他の場所でするかが次に問題となります。ただ、式の規模によっては、式もレセプションも同じ場所でということになります。そのさいには、キリスト教式で式が出来る場所をさがさねばなりません。しかし、豪華な式でなくとも、礼拝後、会堂でみんなでティーパーティーというのもしゃれています。式の進行に欠くことのできないのはオルガニストです。司会者を依頼すると同時に、オルガニストも依頼しなければなりません。奏楽、讃美歌の準備がかなり前から必要だからです。選曲の仕方によって、式そのものの雰囲気がきまりますから大切に考えます。あの人を呼んで、この人を呼ばないわけにはいかないといったことが起りますから、よくよく考えて、限られた予算内におさまるようにします。結婚式は、葬式とちがって予定をたてることができるのですから、準備をできるだけすることです。準備のよくできた結婚式は、結局本人たちにとっても気が楽になります。