教会と歴史(1) 石居 正己




むさしの教会元牧師、ルーテル学院大学・神学校元教授(教義学、キリスト教倫理)の石居正己牧師による受洗後教育講座です。




A.教会がなぜ歴史を重んじるのか

「教会と歴史」という主題ですが、なぜ教会が歴史的なものか、歴史にこだわるかを第一に考えておかなくてはいけないと思います。つまり、世の信仰の中には、歴史にあまり関わりのないもの、また関わらなくてもよい型の信仰もあるわけです。深く神秘的に考えたり、非常な修行を積んで、神的な世界に沈潜していく、そしてそのことによって神さまとの交わりを持つことが出来るように考えている場合には、あまり歴史との関わりがなくてもよい、あるいは関わるべきでないということになるかもしれません。キリスト教会が歴史に関わるというのは、私たちが聖書を基にしているということが第一の理由です。旧新約聖書は大体1000年位の間かかって書かれており、神さまの働きがどのように人々に現れたかを記録しています。いろいろな出来事の頂点に主イエス・キリストの出来事があります。その事がしかも歴史を通して私たちにまで伝わってきています。それはとても特徴ある出来事といってよいわけです。

(1995年 4月)