1-A. はじめに~キリスト教冠婚葬祭とは




(東教区出版部発行ブックレット『喜びごと悲しみごと』1976年 5月 1日より)
むさしの教会元牧師で、ルーテル学院大学元教授(牧会カウンセリング)
賀来周一牧師によるやさしいキリスト教冠婚葬祭入門です。




1-A. はじめに~キリスト教冠婚葬祭とは

加冠、婚礼、葬儀、祭祀、略して冠婚葬祭といわれる慣習は、私たちが社会生活を営むときの通過儀礼で、どのような人でもこれにふれないで生きることはできません。ふつう、加冠といわれるのは、子供の誕生から長寿の祝いごとのたぐい、地鎮祭や上棟のようなもので、婚礼葬儀はよくご存知のとおりですが、祭になると正月の守り事や、二十四節気、七夕、お盆に、夏祭、秋の彼岸に大晦日といろいろな慣習が私たちの生活の中にはいってきます。日本という國は、いわば文化のたまり場所のようなものですから、神道から仏教、はては西欧的な習慣に至るまではいりこんできて、たいへん賑やかです。加えて、地方ごとで独自に発展した慣習、行事もありますし、家の伝統のようなもの、はては個人の考え方まで反映して、冠婚葬祭をますます、複雑多岐としているようです。

キリスト者として、こうしたしきたりにぶつかるとき、時には困ることがあります。困る以上に、かえってそれによって信仰がためされるようなことも起るでしょう。きっと、私たちの中にも、これは困った、どうしたらよいかと思われることがあるにちがいありません。もしも、こうしたことの一助にもなればと思い、このパンフレットを書きました。ご一読いただいて、なるほど、こういうぐあいにかんがえればよいのだなということがあれば幸いです。