スオミの教会    ヨハンナ・ハリュラ

 今回は、スオミの教会についてお話します。現在、国民の85%がルーテル派、そして約3%がその他の宗派に属しています。

 スオミの教会の歴史を見ると、12世紀に入ってからローマ・カトリック教会が布教を開始。また、東方正教会は今の東カレリア地方に布教をしました。それによって、スオミの人たちを宗教が居住地域で分離し、この分離線は今も残っています。16世紀の宗教改革で国は全面的にルーテル派になり、現在教区は 594、信者は430万人。世界で3番目に大きいルーテル教会となりました。

 ところが現代社会では、教会以外に楽しいことがあって教会離れがどんどん進んでいます。でも、国民の多くは生活の節目(幼児洗礼、結婚式、お葬式)になると教会の儀式に出席しています。また、児童の90%以上が幼児洗礼を受け、そして、同数が15歳になったら堅信礼を受けています。

 人々を教会へ繋ぐ為に、教会はテレビやラジオで教会行事を放送したり電話相談やファミリーカウンセラーセンターなどのサービスも行っています。

 ルーテル教会は8つの大教区に分かれ、更にそれは594の教区に分かれています。大教区は監督(≒日本で言う総会議長)のもとにあって、監督は、国の社会問題・教育問題など色々な分野で発言力があります。教会には、1/3が聖職者・2/3が信徒からなる最高運営組織があり、教会行政の決定をします。

 女性聖職者の按手式については教会内でずいぶんと論議されましたが、その結果1986年にやっと支持を得ました。以前から、女性神学者は教会の教育活動面で働き、聖餐式の補佐もしていましたが、按手式以後は女性聖職者は全ての面で教会の働きに携わることができるようになりました。

 この100年の間に教会は殆ど独立。国家も宗教から分立していますが、重要な関係は残っています。ルーテル教会と東方正教会には教会税の徴税が認められ、市の政務局が他の税金と一緒に徴収しています。しかし他の教派には納税義務がありません。集められた税金は、それぞれの教会の活動を支えています。

(東方正教会の信者は約6万人。教区の多くは現在ロシア領のカレリア地方  に集中していて、また、ペンテコステ派の信者は約5万人です。)

(2001年 9月号)