ラクダ 石垣 通子

 創世記の冒頭に出て来るイスラエル人の先祖アブラハムにとっても大切な財産であり、ペルシャから北アフリカまでの砂漠地帯では交通、運搬のために重要な家畜でした。ラクダを数多く所有することは富を示すことでもあります。『ウツの地にヨブという人がいた。…羊7千匹、らくだ3千頭、牛5百くびき、雌ろば5百頭の財産があり…』(ヨブ記1:3)また『らくだは反すうするが、ひづめが分かれていないから、汚れたものである』(レビ記11:4)から食べてはならない動物でした。そして『乳らくだ30頭』(創世記32:16)とあるように乳も利用され、『らくだの毛衣を着…』(マタイ3:4)これはバプテスマのヨハネが衣類としていたことを示します。

 又よく知られているように、ラクダはこぶが一つのものと二つのものがいます。ヒトコブラクダは現在のパキスタンからペルシャ、アラビアを経て、アフリカのサハラ砂漠の地域で使われ、フタコブラクダはモンゴルのゴビ砂漠からタクラマカン砂漠を経て、中央アジアまでの地域で家畜として使われます。

 イエス様の言葉にもあるように、『金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい』(マタイ19:24)。