ヘンナ(指甲花。新共同訳聖書ではコフェル)   池宮 妙子

「恋しい方は香り高いコフェルの花房エン・ゲディのぶどう畑に咲いています。」(雅歌1:14)

「ナルドやサフラン、菖蒲やシナモン/乳香の木、ミルラやアロエ/さまざまな、すばらしい香り草。」(雅歌4:14)

 「死海の西岸は岩質の荒原、そこにブドウ園があり、シコウカのかぐわしい香りの花房が風にゆれている。救われるような光景」と大槻虎男氏は記されていますが、花の芳香を愛でて、現在では熱帯各地に広く栽培されています。

 原産地は北アフリカから西南部アジアで、6メートル位の低木です。花茎は7ミリ位、白色または黄色の強い芳香のある小花が房状に枝先に着きます。揮発油を含み、香油を採ります。葉は長さ2センチ位で細長く、この葉を粉末にしたものが、“ヘンナ染料”です。東洋古来の黄色染料および顔料です。有史以前から指や爪、髭、髪染めなど化粧品として使われたことは数多くのエジプトのミイラからも証明されています。最近美容院で流行っている“草木染めヘアダイ”というのもヘンナが主財です。

 熱川バナナワニ園に50センチの小苗成育中。

(2000年9月号)