サフラン 池宮 妙子

 サフラン(Crocus sativas L.)

「ナルド、サフラン、菖蒲、肉桂に乳香の取れるすべての木、…(雅歌4章14節)」

 ソロモンの雅歌に出てくるサフランは、聖書、植物研究者によればクロッカス属(欧州の中南部、北アフリカ、西アジアに 種ちかい原種)の中の一種で、和名「サフラン」のことを指しています。英名は Saffran Crocus。

 かれんな淡紫色の花を咲かせる秋咲きのサフランは芳香強く、雌芯(めしべ)の先は鮮橙赤色で、花びらの外に垂れ下がります。この花芯を採取、乾燥し、本来は薬用として使いました。一オンス(ニ八・三五グラム)に最低四千本の花芯が必要とされます。現在は主に鑑賞用として秋花壇水栽培で楽しんだり、食品着色料、食品の香料、スパイスとしては「クロッカス」の名で売られています。

 ポプリの流行で、球根は種苗店で 月頃に販売され、9月に植えれば11月には開花。日本渡来は一八六〇年頃です。