編集後記 「最後の言葉」 秋田 淳子

悲しみ、そして大きな憤りを抱く同時多発テロ事件が起きてしまいました。あまりに突然の出来事です。まず何よりも被害を受けた方々、また大切な命を奪われたそのご遺族の方々の上に神様の確かなお守りをお祈りいたします。

「娘を頼む。君が人生でどんな決断をしようととにかく幸福でいてほしい。僕は君の決断が何であれ尊重する」これはハイジャックされた飛行機から妻へ携帯電話で送ったある男性の言葉です。これを読んだ時、涙がこぼれてきました。

人は自分の人生の最期を感じた時から心優しくなれる様にできているのか。あるいは、その人自身の持つ精神性の深さが思いやりのある言葉となっていくのか。普段は心の奥にしまっている気持ちも、危機的状況では自然と言葉となるのか。それもそれは、不平や不満ではなく悲しい位に心優しい言葉であるということ。

世界がどの様な方向へ動こうとしているのか不安な今、私たちは何よりも祈りを持って次に取るべき行動と発言を導いていかなくてはいけないと思います。

(2001年10月)