編集後記 「トネリコの樹 (最終回)」 秋田 淳子

新しい家に引っ越しました。角地になるため、外の人の気配や車の音から解放できるように中庭形式の建物にしました。そして、中庭の真ん中には大きなトネリコの樹を一本植えました。それぞれの部屋は中庭を取り囲んでいるので、どの部屋に居ても私たちの視線は自然に中庭へと注がれ、トネリコを見上げるときその延長線上には青い空、また夜には星の輝く空が広がっています。今まで、空は窓を開けた斜め上にある感覚でしたが、空はいつも私たちの真上に広がっていることを実感しています。

「家族の気持ちが、常に同じ所に集められているんですね」と、この様子を見て知人が言いました。確かにそうです。空を見上げるとき、自然と私たちの姿勢は何かを仰ぐ形へと導かれます。そしてそれはとても清々しくもあり、崇高な気持ちにも満たされます。

たとえ、私たちがそれぞれちがう人生を歩んでいても、その中心にはいつも神様がいてくださり、それぞれの場所から同じに神様を見上げているのです。そして、私たちの上には神様のお守りと慈しみがいつも広がっています。

(2002年 2月号。なお、10年に渡ってご奉仕いただいた秋田淳子編集長は、今号をもってお役を交替されます。長い間、すてきな文章をありがとうございました。神さまの祝福をお祈りいたします。 大柴記)