「読書会ノート」 大岡昇平『武蔵野夫人』

大岡昇平『武蔵野夫人』

読書会ノートより

 

今回は皆さんの書いた感想文を載せさせてもらいました。(読書ノートから)

H スタンダールばりの恋愛小説、心理小説。五人の男女の心の揺れ動きがたくみに描かれ、面白かった。ストーリーは通俗小説だが、その分かりやすさも救い。

T 感受性が鈍いためか、著者が何を言いた かったのか終始不明。

K 武蔵野夫人というタイトルが魅力的。全てがこのタイトルに凝縮されている。武蔵野夫人のイメージは豊かな自然、清深さ、文化の香り、古い倫理観、自立心、個性、そして少しの危うさ。こういう小説は心理小説と言うらしい。良い本を読むことができた。感謝しています。

I モーパッサンの「女の一生」と重なってきました。特に秋の山の姿は。

N 心理描写がおもしろく読みました。でも登場人物はどれも共感できず…。

i 実際の不倫とは、恋愛とは、と男女の恋の行方が嘘がない。この武蔵野の自然と全く変わらず、ナチュラルでたわいなく、夏も過ぎて秋になるように恋は枯れ果てる。共感を呼ぶ。そのような本であった。

M いずれ、良き本を提案させてもらいます。

(2003年10月号)