むさしのだより「井戸端の戸」 ブルーモルフォ

最近私の心を癒してくれた映画に、Blue Butterfly(天国の青い蝶)と言う映画がありました。

脳腫瘍のために余命数ヶ月と宣告された昆虫好きの少年が最後の願いとして、世界で一番美しいと言われる神秘の蝶ブルーモルフォを捕まえに連れて行って欲しいと有名な昆虫学者に頼むのです。昆虫学者は、もう蝶の季節には遅くて、行っても無駄だと断るのですが、熱心な母子の頼みに動かされて熱帯雨林にブルーモルフォを探しに親子を連れて行くのです。映像は熱帯雨林での木々や花々、昆虫に鳥たちを描き出し、夢の世界に連れて行ってくれます。その上、自然の恵みの中で生活している原住民の人々の心の豊かさが描かれています。そして、そこで住む一人の女の子に、「自然は全部ブルーモルフォよ」と語らせています。ジャングルの中を必死で探し回る少年と昆虫学者にはブルーモルフォを捕まえることが出来ないのに、この少女が遊んでいるところに、「捕まえて欲しい」と言わんばかりブルーモルフォが飛んでくるのです。少女は素手でこのブルーモルフォを捕まえて、少年に別れの日にプレゼントをするのですが、少年はここでの短い滞在を通して「命」の意味を学び、標本の形としてあるよりは生きていることのすばらしさに、蝶を籠から逃がしてやったのでした。

その後脳腫瘍は消えて今も少年は生きているとのことです。この映画はカナダであった実話に基づいて作られたものだそうですが、ミラクルは本当に起こり得るものであり、神は常に私たちの心を見ていると思わせる映画でした。

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(たより2004年10月号)