むさしのだより「井戸端の戸」 5月のウィーン


5月12日から2週間、留学して40年が経過した想いを胸に、麗しの五月のウィーンを訪れた。金曜日に売り出される入場券を買い求め、18日(日)の三位一体主日にはハープスブルグ家ゆかりの宮廷音楽礼拝堂のミサに与ることが出来た。宮廷音楽礼拝堂ではウィーン少年合唱団が歌っている。少年達がソプラノとアルトを歌い、少年時代に在籍し、現在プロとして活躍している男性達が、テノールとバスを担当する。そしてオーケストラはウィーンフィルのメンバーが中心だ。全員神様へのご奉仕である。曲目はハイドン作曲の“オルガンソロ付き大ミサ曲”。すばらしい演奏に伴われたミサであった。この旅行にお供くださった、ウィーンへは初めてという70歳を過ぎた友人も、「素晴らしい演奏を拝聴しながら、心が洗われる思いがいたしました」と、述べられた。優れた作品が素晴らしい演奏によって醸しだされ、神様への感謝の心へと導かれてゆくという、音楽の原点を共に実感できた喜びに感動を覚えた。留学当時、かつてハイドンもモーツァルトもシューベルトも在籍したウィーン少年合唱団の総裁として、祝日のミサには特別に指揮をされた恩師グロスマン先生をお偲びし、感謝の気持ちで一杯になった。 

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 (たより2008年 7月号)