「風は思いのままに」 立野泰博

本教会事務局長として東京に赴任し、4月に広島教会からむさしの教会に転入、 礼拝に出席されている立野牧師よりメッセージを頂きました。

5月に財団法人ルーテル会(ルーテル保育所)の08年度決算理事会が終わりました。これをもって私の広島教会でのすべての働きが終了しました。12年間の2教会2付属施設(保育所・幼稚園)の働きの区切りとなりました。これまで導いて下さった神様と、これまでお支えくださった方々に心より感謝します。赴任時は平均35名の礼拝でした。それから、平均100名の礼拝出席になるために、様々なアイデアを出し、創意工夫し、走り回った日々が懐かしく思い出されます。広島という地方都市での宣教、しかも毎日がヒロシマを体験する土地で生きることは、「いのちを守る」という使命を持った12年だったと思います。洗礼者も72名を与えられました。いつか12年間でやったことのすべてをまとめてみたいと思います。

さて、区切りができるとまた新しいことが始まりました。5月は「日本福音ルーテルむさしの教会」での礼拝説教デビューでした。4月に転入式をしていただき、一人の信徒として教会の礼拝に出席しています。まだ数ヶ月ですがこの教会の賜物三つをすぐに見つけ出しました。「ステンドクラス」「大柴牧師の説教」「讃美の声」(アーメン三唱は特徴的)です。これはこの教会の宝です。この三つが溶け合って今の教会があるのだと思います。礼拝の司式説教者という立場から、ひとりの会衆へと導かれた私ですが、会衆しか感じることができない祝福をいま受けています。

この度、ペンテコステ(聖霊降臨)礼拝の説教奉仕を与えられました。久し振りに緊張?と思いましたら、それほどでもありません。聖霊の恵みを語るときですから。「風は思いのままに吹く」。このみ言葉の動きを語らせていただきました。ペンテコステは教会の命としての聖霊が与えられた日です。命として与えられた聖霊ですから、これがないと教会は死んでしまいます。聖霊のない教会はないのです。ではなぜ元気がない教会があるのか。それは病んでいるからでしょうか。きっと、元気の源に気がつかないのです。教会には「み言葉と聖さん」という神様の治癒力がありますから大丈夫です。この教会に与えられた宝はすべて礼拝の中にあることをもう一度確認するとき、そこに聖霊の働きをみることができます。また、その聖霊の力を共有することができればいいなと思います。

いま全体教会の事務局で働いています。私にとっては貴重な時間を与えられています。現場が大好きな私が、現場を離れています。今までを振り返り、人生の後半に向けての蓄えの時です。違う角度から教会をみることができます。社会の中の出来事にも目をむけることができます。とくに単身赴任というめったにできない貴重な体験は、今後においてきっと生かされることでしょう。日曜日の働きがないのは本当の安息日であること。だからこそ日曜日の大切さなど。どこかで話す機会があれば、とくに牧師たちの集まりで話したいものです。そんなこんなで楽しい事務局長体験をしながら、むさしの教会生活も楽しんでいます。

立野 泰博(日本福音ルーテル教会事務局長)

(むさしのだより2009年 9月号より)