「仙台ルーテル支援センター「となりびと」奮闘記」 立野泰博(第2次センター長)

ルーテル教会と東教区は、3月に先遣隊を現地に派遣しました。被災地である多賀城市は、何百台という車がひっくり返り、住宅が破壊され、潰され、海水の引かない泥だらけの現地がそこにありました。その状況はあまりにも壮絶で、言葉を発することさえできません。手にもったデジカメのシャッターを切ることさえできませんでした。避難所で被災者の方々を撮影しているテレビ局を重い気持ちでながめていたことを思い出します。その後先遣隊は、名取氏、塩竃市、七ヶ浜町、山元町、東松島市と訪問するたびに、その被害の大きさと被害種類の多様さに圧倒されつづけていったのです。

被災地の現場に立つた時、「これから始まる救援活動は長期戦になる」と感じました。ルーテル教会としてどこまで、どれだけこの被災に寄り添っていけるか。覚悟をきめなければなりませんでした。幸いにも鶴ケ谷教会、仙台教会の被害は少なく、活動の中心拠点として用いさせてくださることになりました。対策本部会議をへて、第1次センター長・小泉嗣牧師が4月8日に仙台教会に派遣され、11日にルーテル支援センター「となりびと」はその活動を開始しました。活動の様子はブログ「となりびと」でご覧ください。
http://lutheran-tonaribito.blogspot.com/

現在まで、ボランティア活動に約73名が参加してくださいました。活動内容としては、石巻災害ボランティアセンターでの受付業務(全国からやってくる人たちの受け入れ作業)、石巻津波被災地区家屋の泥出し清掃作業の2つが中心です。ボランティア受付業務は石巻市社会福祉協議会より任され、初期段階から3名を配置、スタッフミーティングに陪席しています。また、1名は長期専属スタッフとして石巻VCに泊りこんでいます。もうひとつの活動として泥出し清掃活動にボランティアを派遣しています。朝5時起床し、2時間半かけて石巻に到着。9時から作業にかかり4時まで労働作業。6時のスタッフ会議終了後にまた2時間半かけて仙台に戻り、入浴、夕食、わかちあい。23時就寝という過酷なスケジュールです。それでも、被災地で現地の人々と出会ったボランティアは元気を与えられて帰ってきます。共に汗を流し、寄り添い、話を聞き、そこに絆が生まれているのです。

今回はルーテル救援活動のために2名の専従スタッフを置きました。佐藤さん遠藤さん。このお二人のチームワークと働きで活動は広がりをみせています。支援物資については緊急支援としての大量援助は終わり、これからは個別のニード、しかも県、市、各NPO、行政などができない隙間の援助をルーテルはすることができるし、佐藤専従スタッフがそれをしています。気仙沼にある孤立した精神科の病院に軽自動車レンタル、石巻の家庭にまな板セット、女性たちにコスメセット、地域消防団に遺体捜索のための胴長支援、東町島市の小野市民センターに畳搬入プロジェクト等。予算消化のような援助物資の送り方はやめ、こまかなニードにこたえる活動は実を結んでいます。佐藤専従スタッフによると、ニード調査の中で、こちらが持っているものを援助するやり方ではすでにニードはない。しかし、そうでない本当に必要とされているものはある。援助の仕方を変えることが大切という報告がありました。その方針転換が東松島市小野市民センターの避難所とのつながりに発展しました。畳搬入プロジェクトはルーテル救援としてはじめて避難所に直接支援したプロジェクトでした。

センター開設から1ヶ月たち、やっと活動の点が見えてきました。東松島、石巻、気仙沼。この点からどこを線で結ぶかが今後の展開には重要です。点から線、線から面ということを考えれば、いまのところ石巻が最有力です。県社協、市社協とルーテルの関係もよく、佐藤・遠藤両スタッフのつながりから、被災地で活動している被災者とも連携がとれています。心のケアもはじまりました。

まだまだ長期にわたる活動がつづきます。どうか祈りを持って支えてくださると感謝です。

以上。

(むさしのだより2011年5月号より)